侍ジャパンが世界一を奪還した野球のWBC。今大会では、侍戦士から数々の名言が生まれました。
●頂点への声出し
●村上選手への宿題
●世界一でも「反省」
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
■名言で振り返る大会 大谷選手「憧れるのをやめましょう」
決勝から2日がたち、侍戦士たちはそれぞれシーズン開幕へ向けて始動しています。
大谷翔平選手は日本時間24日午前3時過ぎ、エンゼルスのキャンプ地に入りました。ダルビッシュ有投手もパドレスのキャンプ地に入っており、キャッチボールなど軽めの練習を行ったといいます。駆けつけた多くのファンから「おめでとうございます」と声をかけられると、ファンサービスに応じる様子も見られました。
今回の大会を数々の名言で振り返ります。
まずは、大会MVPに輝いた大谷選手の「憧れるのをやめましょう」です。大事なアメリカとの決勝前、円陣で口にした言葉です。
アメリカ代表にはマイク・トラウト選手やゴールドシュミット選手など、野球人なら誰しもが憧れる選手がそろっています。大谷選手は「憧れてしまったら、超えられない。僕らは超えるために、トップになるために来たので、今日1日だけは憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」とチームを鼓舞したわけです。
大谷選手だからこその言葉ではないでしょうか。
■準決勝で“復活”村上選手 決勝でも5番で起用に「宿題」
続いては、23日の凱旋会見で村上宗隆選手から出てきた言葉です。
村上宗隆選手(23)
「3年後(のWBCも)しっかり出て、次は全試合4番打てるよう頑張りたい」
村上選手は1次ラウンドの4試合は4番で起用されましたが、不振に苦しみ準々決勝からは5番に打順が下がりました。それでも準決勝で意地を見せ、逆転サヨナラタイムリーを放ちました。決勝では同点に追いつく貴重なアーチも飛び出し、結果としては優勝に非常に大きく貢献しました。
栗山監督は、村上選手に対し「最後はお前で勝つ」「信じている」と話していたそうで、その信頼に応えたわけです。
決勝も5番で起用したことについて、栗山監督は23日放送の「news zero」で「最終戦は4番村上でいきたかった。ただ、彼がもっと大きくなるために、宿題を残して次に進んだ方がいい」と判断したと明らかにしました。ここから結果として、あの貴重なホームランが生まれたわけです。
また、23日の凱旋会見では、コーチ陣からある舞台裏も明らかになりました。
監督の言葉を準決勝でサヨナラ打を放つ前の村上選手に伝えにいったのは、城石コーチです。その城石コーチは「“バントか、代打か”みたいな顔をされた。だけど、監督の『思い切って行ってこい』と伝えた時の、あのムネのスイッチの入った表情は一生忘れない」と振り返りました。村上選手の闘志と意地に火をつけた一言だったわけです。
一方で、会見ではざんげも聞かれました。準々決勝のイタリア戦で出塁した岡本選手が、中途半端に二塁に向けて走り出してしまいアウトになったことがありました。この場面について、一塁で指示を出していた清水コーチは「すみません、アレは僕が横から大噓を教えてしまいまして…」と明かしました。次の投球で走るようにと間違った指示を岡本選手に吹き込んだということで、結果的に残念ながらアウトになってしまったということです。
■名言は相手国からも 「日本が勝った。だが野球界の勝利だ」
日本が破った相手国からも名言が生まれました。
例えば、準決勝で日本にサヨナラ負けしたメキシコのヒル監督の言葉があります。ヒル監督は、大谷選手所属のエンゼルスのコーチでもあります。敗戦後のインタビューでは「日本が勝った。だが、今夜の試合は野球界の勝利なんだ」と言いました。
また、決勝で最後のバッターとなった大谷選手の同僚であるトラウト選手は、大谷選手との勝負について「大谷からは何も奪えない。タフな夜だったけど、僕らはまた戻ってくる」と決意を新たにしました。
■「野球ってこんなに面白かったんだ」選手が改めて実感 監督引き受けの可能性に“意味深”発言も
凱旋会見では、勝負する楽しさや野球の面白さを改めて実感したという選手の声も聞かれました。
2試合に登板・11奪三振 佐々木朗希投手(21)
「アメリカのあの球場で、あの雰囲気の中で、メジャーリーガーと真剣勝負できてすごく楽しかったです」
今大会2HR 岡本和真選手(26)
「ゲームセットになった瞬間が、何よりも印象に残っていますし、野球ってこんなに面白かったんだなと思いました」
栗山監督も「日本中の人に、野球の面白さやすごさを感じてもらえた。選手たちに憧れてたくさんの子どもたちが野球をやってくれると思うので、すごくうれしかった」と話していました。
また、栗山監督は世界一の監督になったものの、帰国する飛行機の機内では「反省していた」ことを23日放送の「news zero」で明らかにしました。
栗山英樹監督(61)
「反省しましたね。もっとやり方があったのかなとか、勝ち切ったんですけど、もうちょっとうまくやれることはなかったかなと振り返っていた。勝ったからいいというものではなかったので、もうちょっと活躍できる選手たちいたので、背中を押してあげられなかったなと」
世界一ならではの心境なのかもしれません。そして、侍ジャパンの監督をまた、引き受けるどうかについては「もし、僕が必要とされるなら、ここからは恩返しなので可能性はある。ただ、ここで終わりと思ってやってきたので、終わりは終わり」と話しました。
◇
当事者たちの「言葉」を通じて、一つ一つのプレーや試合をもう一度かみしめ共感することができます。スポーツの醍醐味(だいごみ)は身体を動かすことだけでなく、心を動かすことにもあると多くの人が実感したと思います。
(2023年3月24日放送「news every.」より)
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